2010年3月12日金曜日

鄙びた食堂

出張で、浙江省のほぼ真ん中に位置する金華という町に行きました。

金華市は上海の南側、浙江省の真ん中辺り、やや西に位置している町です。
上海からおよそ4~500キロほど離れております。
ちょっと資料は古いですが、1999年に発行された地図の説明によりますと、市街の人口は19万人。4市4県が寄り集まってできた市です。
(中国では「県」は市よりも下の行政区です。)

金華の名前は隋の時代についたものだそうで、金星と婺女(ブジョ。金星と同じく星の名です)が花(華)をあい争ったという故事からついたといいます。

機械、紡績、化学工業、食品などの産業のほか、農業が発達しており、お茶の産地としても有名です。
また金華火腿(金華ハム)が有名ですね。豚の腿を吊るして、カビを生やさせて乾燥させるのですが、これがとても高級なハムとなるのです。

仕事帰りに昼食をとることになりました。
案内人のNさんが地元の郷土料理でいいですか?と聞きました。
中国で郷土料理といえば危険と隣り合わせです(笑)。

浙江省の省都、杭州では蛇料理に、赤犬料理、そしてサルの脳みそと郷土料理を体験している私は、「変なものでなければ」という条件付で、その郷土料理を試してみることにしました(笑)。

レストランまでの道のりは想像以上に遠かったです。山間のくねくねと曲がった狭い道を三十分ほども走ったでしょうか。
それは日本の山間風景とまったく同じです。まるで自分の田舎の山道を走行しているのかと錯覚するほどでした。

ようようの思いで到着したところは、川のほとりに建っている小汚いレストラン、というより食堂、いや、なんというかふつうの家、とでも言うべきでしょうか。ま、一応「飯店」と看板が掲げてありますから、食堂なのでしょう。
添付写真をごらんいただくとお分かりのように、日本ではまず営業許可が下りないようなところです(笑)。



「紅豆飯店」という名の、この店は、実はかなり有名な店なのだそうです。
観光地にあって、多くの観光客が訪れるといいます。先のNさんはこの地に二年ほど住んでいて、しばしばこの店を訪れたといいます。
写真は店の入り口ですが、ここが厨房をかねています。流しは手前のセメント作りのものがひとつ。雨が降れば水道を使わなくても水の心配は要らないという感じです(笑)。
ガスなどはありませんから、厨房入り口に並んでいる大小各種のコンロで煮炊きするのです。
手前左端に半分見えていますが、赤色のたらいには採ってきたばかりのウナギがにょろにょろうごめいていました。

十年ぐらい前まではこういう店は上海でもよく見られましたが、今ではすっかり影を潜めました。
私も久しぶりです(笑)。

料理は四川料理ほどではないにしても、かなり辛めでした。
浙江省の料理は比較的甘いものが多いのですが、ここのは激辛でした。
ま、ここまでは肉料理にしても、野菜料理にしても、唐辛子で真っ赤という以外はあまり珍しいというほどのものではありません。

この店の呼び物は「竹飯」とでもいうのでしょうか、竹で炊いたご飯です。
竹の筒に肉や野菜を混ぜ合わせたもち米を詰め込み、それを炭火で焼くのです。
食べるときは竹を縦に半分に割って食べます。添付写真は真っ二つに割ったときの様子です。
(ご飯を詰めるときは節のところにあけた小さな穴から入れます。)
これがこの店の「売り」でした。



お味のほどは大変結構なものでした(笑)。

2010年3月9日火曜日

近頃の上海

半年ぶりに上海を訪れました。
まずびっくりしたのが、地下鉄網の発達です。
数年前までは上海市内を南北に走る1号線と東西に走る2号線しかありませんでした。
しかし、いまや地下鉄はなんと11号線までできているのです!

日本の観光会社のウェッブサイトでも最新版が間に合わず、9号線までしか載せていないところが多いくらいです。
それだけ建設速度が速いのでしょう。
私はUrbanrailnetという世界中の鉄道網の地図を掲載しているサイトから上海の地下鉄図をダウンロードして持参しました。これには最新の11号線まで載っていたからです。

11号線は最も新しい路線で、浦東区の中心地、花木路から、上海市内の南をぐるっと周回して、上海の北西部の端に位置している上海大学まで走っています。

11号線は文字通り、ピッカピッカ(古い表現ですね(笑))の新路線です。
何もかも真新しく、気持ちいいですね。

ホームは全線ガラス張りで、乗客が誤って線路へ転落するのを防ぐタイプです。京都でいうと東西線のような感じでしょうか。もっともホームの広さは倍ほどもありますが・・・
エスカレーターは右側が立つ方で、左側が急いでいる人むけに空けるよう指示してあります。エスカレーターの足を乗せるところに「立つ人」「急ぐ人」とペンキで書いてあるので分かりやすいです。

切符はピタパなどと同じく非接触型で、改札口にある受信部へ近づけるだけです。
リチャージ型の定期などをもっている人は接触するたびに残高が改札機の表示部に表示されます。
私のようにいちいち切符を買う人は、入場時には改札機へ近づけるだけで入れますが、出るときはスロットへ挿入して回収されます。
リチャージ型のものはカードではなく、縦3センチ、横2センチくらいの小さなお守りのような形状をしています。中央部がちょっと膨らんでいて、柔らかいですね。携帯のストラップと間違えるほどです。
ちなみに、この「カード」はタクシー料金の決済でも使用できます。

改札機は日本のように観音開きではなく、三本の棒が飛び出ている回転式です。
通り抜けるときはこの回転棒を身体で押し回すわけですね。

さて、乗客ですが、さすがに上海大学行きだけあって圧倒的に学生が多いです。
なにより驚いたのは、彼らが日本の学生とほとんど変わらないということでした。
服装はもちろんですが、全員が携帯電話を触っているか、ゲーム機に夢中になっているか、iPodで音楽を聴いているかで、その光景は日本の電車に乗っているかと見間違うほどです。
それはもう海外にいることを思わず忘れさせるほどでした。

逆に若者文化が世界共通になってしまって、地域性を失ったことをも意味していますね。
単一文化はやがて腐敗していくという社会法則を考えると、これは憂うべきことかもしれません。

携帯電話機も交代が激しく、いまや人気はスライド式の大画面タイプです。
画面はほとんどがタッチ式で、iPhoneかと見間違えるほどですが、コピー製品です(笑)。
IPhoneをもっている金持ちの学生もいます。
ほとんどがゲームをしていました(笑)。

今や中国の若者は日本とほとんど変わりません。
このまま若者文化単一化したら、やがて文化は消滅してしまうのではないでしょうか・・・

恐ろしいことです。
文化は多様性があってこそ、次世代を形成するものです。
単一化した文化など、後は死を待つばかりです。

文化の多様性は何とか維持してほしいものです・・・