2009年5月23日土曜日

中国河南省鄭州市

鄭州市は河南省の省都で、中原の地と称されます。
東流する黄河の南岸に位置し、西には洛陽市があります。
現在、旧都市の東側に50万人規模の新都市が計画されています。なんでも日本の建築家、黒川紀章の立案になるのだそうで・・・。

その昔、殷の時代に都であったため、その歴史は3500年に及びます。
こんな都市ですから、初めて訪れる私としては仕事以上に期待をもったものです。

上海虹橋空港を飛び立った飛行機は満席です。飛行機がすっかり人々の足になっているのだなァと実感します。
1時間ほどの飛行で、機は下降を開始します。眼下に見える大地はあくまで平たく、山というものが見えません。なるほど「中原」とはよく言ったものだと感心。

鄭州の南東はるかの地に新しい鄭州新国際空港があります。ローカル空港は市街の北東にあってほとんど市内といってもいい所にありますが、新国際空港は関西空港並に都心から離れています。飛行機に乗っている時間と同じくらいの時間をかけて市内へ入ります。

上海を見慣れた目から見ると、鄭州の町は省都とはいえどこか鄙びた感じがします。上海ではすっかり姿を見なくなった二輪車用と車道を区分けする鉄柵などがまだあります。走っている車も一世代古いものばかりです。大陸都市によく見られる土ぼこりがたまった道路も懐かしい光景です。

黄河中流域の都市にもれず、この鄭州も黄河の河床より低い所にあります。いったん黄河が氾濫したらこの町は水没することになります。くわばらくわばら・・・(笑)

今回の仕事は私の商品(といっても友人がやっている工場の製品ですが)の売り込みです。相手は気前よく10台もの機械を買ってくれるというのです。最終契約は鄭州でというのが条件でした。
相手は空港に迎えに来ていました。といっても担当者ではなく、通訳の女性と運転手の二人です。
今回は中国人の友人も一緒ですから商談は中国語です。私は横でよくわからない中国語を聞いていればいいという、ある意味気楽な商談です(笑)。

ホテルにチェックインした後、相手の担当者がやってきました。なかなか押し出しのある人物です。「貿易部経理」(日本だと貿易部部長といったところでしょうか)というのが彼の肩書きです。しかし、数日前に電話したとき彼が英語をしゃべることができないことを私は知りました。通訳の彼女がもっぱら彼の代筆をやっていたのでした。
彼は我々を街中の喫茶店に連れて行きました。てっきりオフィスに行くものと思っていた我々は面食らいましたが、とりあえずそこで商談が始まりました。
相手はバイヤーとしては異常なほど物分りがよく、細かな注文を出さずに契約書にサインをするといいます。やがて総経理(社長)や供応部経理もやってきてサインしました。

その後、担当者と通訳の彼女、そして運転手と一緒に夕食となりました。中国で流行の「火鍋」です。日本製のIH調理器の上に、真ん中が仕切られた鍋が置かれ食事が始まりました。
以前にご紹介しましたが、火鍋は仕切りの左右に甘いスープととてつもなく辛いスープがそれぞれ入っています。自分の好みに応じて好きなスープでしゃぶしゃぶを楽しむという寸法です。

商談後の供応としては簡素な食事が終わったころ、相手がカラオケに行かないかと誘いました。普通なら受けるところですが、相手はこちらの接待として自分たちを誘ってほしいといいます。なるほどこちらが売り込み側だからそれもそうだと私は思いました。ところが私の友人はそこで「これはおかしい!」と思いました。
彼によると、こちらはわざわざ日本や上海からやってきたのだから、いかにバイヤーとはいえ鄭州側が接待をするのが普通だというのです。私としてはどちらとも判断が出来ませんでしたが、彼はこれは詐欺だ!と直感したそうです。
つまり、カラオケに行ったら最後、途方もない金額を請求され金を騙し取られるというのです。どうりで現金がないといったらクレジットカードやバンクカードで払ったら?などと言っていたのです。
ともかく金もない、カードもないと言い張って早々に彼らと別れました。

翌日、彼らからは何の連絡もありません。以来彼らの消息は我々の前から消えてしまいました。こうして我々は危うく詐欺にあうところだったことを再認識したのでした(笑)。
我々の被害は旅費・宿泊費です。一方、彼らはどうかといえば、我々を空港に迎えにきたガソリン代、喫茶店代、そして粗末な夕食代金ぐらいでしょうか・・・その結果、彼らは何も!手にすることはありませんでした(爆)!

結局、期待に胸膨らませて訪れた鄭州は、私にとっては「詐欺の町」となってしまいました。友人によると鄭州人が詐欺師だというのは中国では常識なのだそうで。相手が鄭州人だと商売しないのが一般的だとも。
いやはや殷の子孫もえらい評判を得たものです(笑)。

後日談。
関西空港に到着して携帯の電源を入れたら、「あなたが登録しているサイトの無料期間が過ぎ、有料期間が続いて未払い金がたまっています。お支払いがなければあなたの個人情報を調べ法的手段をとります」という詐欺メールが入ってきました(笑)。
翌日事務所に出たら、イギリスからエアメールが届いていました。中身はイギリスで日本人が死んだ。苗字があなたと同じなので彼の遺産を受け取る権利があると考えます。つきましては遺産送金のためにしかじかの金額をお送りください」という詐欺メールでした(爆)。

世界的不況の影響はこうした詐欺の横行というかたちで世界規模で広まっているのです。

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